現場改善と一口に言っても生産性向上、品質向上、安全性向上等様々な物があります。
勿論全て大事ではありますが『安全』という点においては殊更気を配る必要があるというのが当然且つ企業としての使命である事はいうまでもありません。
セーフティーファースト・安全第一
これはよく聞く言葉ですが、言うだけで実が伴わない会社が多く存在するのも実情です。
やはり品質や生産などが実際として最優先になり、安全は置き去りという状況が多くみられると同時に安全に対しての改善の取り組みはその多くが『労働災害やヒヤリハットが起こってから手を打つ』というスタンスである事も非常に多く見受けられるのです。
それは何故か。そしてではどうすればいいのか。このあたりについて触れていきたいと思います。
安全への取り組み。なんの為・誰の為?
まず整理しましょう。
安全な現場にするというのは一体なんの為で誰の為か。これは、
『従業員の身を守る為』
の一言に尽きると考えます。
従業員の方々が安全かつ安心して作業に取り組むことが出来、怪我なく家に帰る事こそが安全改善における大前提となるのです。
皆様がお勤めの会社では如何でしょうか。
当然、新設される生産設備や生産ライン等においては安全面を十分の考慮した上での導入となるでしょう。
しかしながら現場に潜む潜在的リスクに関しては『災害やヒヤリハットに発展してしまった後』に一番力を入れる企業様も少なくないのではと感じます。
当然、再発防止策に関しては十二分に考慮しなければならないのは言うまでもありませんが、では潜在的リスクに対して一体どれ程の力をかけて改善を施せばいいか。
- 自職場におけるリスクアセスメントとして定量的な評価を実施する。
- 優先順位をつける
- 改善の実施とその進捗管理及び改善を推進するメンバーを擁立する
- 継続した改善の実施
この極めて基本的な4点について如何に会社としての協力体制を持ち、回していけるかに尽きます。
安全改善には終わりがありません。人が作業をする以上、その潜在的リスクとなる危険要因のほとんどに『ルール』や『躾』が紐づくからです。
物理的対策を以て完全なる安全対策を試みるのであれば『誰がどのように使おうと確実に怪我出来ない』物理対策が必要となります。
これは極論では『人を介在させない』。つまり、完全自動化ラインにして初めて達成できる物ではないでしょうか。
では、それ以外の方法で如何にしてリスクを0にするのか。
私個人の現時点の意見、そして長年現場改善に携わってきた経験から言えるのは『リスク0にはならないが、リスクを下げる事は出来る』です。
ここでよく私がする質問があります。
あなたは目の前で燃え盛る火の中に飛び込もうと思いますか?
非常に極論ではある物の恐らくほとんどの方が『意思を持って』以外は飛び込まないでしょう。
確実に危険である事が分かっているからです。
小さいころから様々な情報を得て様々な躾を受けてきたからこそ、『燃え盛る火が危険』である事を知っているからです。
同じことを駅のホームでも感じました。
電車が、新幹線が来ると分かっていながら線路に降りる人は極めて少ない。
なんらかの事故、ハプニングで線路に落ちてしまう人は稀にいらっしゃいますが、極めて少ない。
確実に危険である事を全員が理解しているからです。
つまり、何が危険でそれによりどのような怪我をする恐れがあるのかを知っているのと知らないのでは怪我に対するリスクが大幅に違うのです。
私が安全改善で実施するのは大きく分けて以下の5点。
- 現場のリスクを徹底的に洗い出す
- それらに対してリスクが下がる改善案を出し、それを実行に移す
- 従業員全員へ現状職場にどのようなリスクがあり、明確に『こうすればこういう怪我をする』という事を伝え、『だからこうしなければならない』という教育を施す
- 新しく入る従業員の方へ現時点でのリスクを教育出来るカリキュラムを体系化する(過去の災害事例を実体験できる場などを作る)
- 改善が継続する仕組みを作る
リスクを下げる物理的な改善は当然実施し、それ以上に従業員の方々へのトレーニングや目に見えて分かる危険のリスクをしっかり理解してもらう。
そしてそれを仕組みへ落とし込み、物理的安全対策と教育的安全対策の双方において継続するよう促す。
安全改善に答えという物はないという事を前提としてはいるものの、私は実感としてこれらの手法が一番安全改善に取り組む上で効果があると感じております。
とはいえ、安全改善にどの手法で取り組もうとも目的は同じ。
『従業員の身を守る為』
という目的を果たす為の手段に過ぎません。従業員の方々と会社の未来を守る。
この意思を持ち続けて、これからもよりよい職場づくり。安心で安全な心地よい職場を作るお手伝いをしていこうと強く心に誓っていきます。
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